百田尚樹 本 夢を売る男 感想
あの『海賊とよばれた男』(講談社)で脚光を浴びて間もない百田尚樹氏が、またまた面白い本で脚光を浴びようとしているとは。
それは、今年2月15日金曜日に太田出版より発売された『夢を売る男』。
面白いもの見たさから、つい買うことになり、読んでみた。
文章としては雑然としていて、小説としては巧いと言えないものの、テレビ畑出身ということもあってか、魅せるところは魅せてくれる。
好む好まざる関係なしに、情報過多にふさわしい現代のありさまをが描かれていて、痛いところを突いているかのような物語だ。
人間は誰でも心の奥底では、自分の人生として歩いてきた証というものを、残しておきたいもの。
それゆえか、出版業界の知られざる裏側や荒稼ぎするエセ編集者に見られる、現代人の膨れ上がった自意識や、いびつな欲望が、見事に描かれていて。
舞台は、主人公である敏腕編集者・牛河原勘治の勤務する出版社・丸栄社。
本当にいろいろな人物が登場する。
自らの輝かしい記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブスのような大物になりたがるフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返したがっている主婦。
特に、何と言っても注目してしまうのは、主人公・牛河原特有の口八丁ぶり。
ユーモアとしたたかな知恵に満ちていて、魅力ある人物にふさわしく、苦情客の怒りを最後には見事に感謝と喜びに変えてしまう離れ業。
素晴らしい。
営業トークはもちろんのこと、現実の生活にも応用が利いて、素晴らしい広がりになりそうだ。
2013-04-15 |
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