こうのとりのゆりかご 赤ちゃんポスト
ふと思い出した。
昨年2013(平成25)年11月25日月曜日にTBS系列で放送された薬師丸ひろ子主演のスペシャルドラマである、平成25年度文化庁芸術祭参加作品『こうのとりのゆりかご~「赤ちゃんポスト」の6年間と救われた92の命の未来~』を。
熊本県熊本市慈恵病院の「赤ちゃんポスト」をめぐる実話のドラマ化したもので、制作に当たっては、綿密な取材を経た上で、系列局の熊本放送(RKK)や地元のフィルム・コミッション等が協力。
キャッチコピーは「生まれて来てくれて本当にありがとう。」
やむにやまれぬ事情ゆえ泣く泣く「赤ちゃんポスト」に預けることを余儀なくされてしまった母親の葛藤には、切なくなったし考えさせられたものの、預けられた子どもたちの心からの笑顔が、最後に観られたことだけは、嬉しかった。
年は明けて、2014(平成26)年1月15日水曜日。
2010(平成22)年4月より放送の『Mother』での芦田愛菜ちゃんと、2013(平成25)年7月より放送の『Woman』での鈴木梨央ちゃんによる初共演の日本テレビ水曜ドラマでの新番組『明日、ママがいない』が放送開始。
当初考えるところでは、あの『Mother』の制作スタッフと出演者による2011(平成23)年3月30日水曜日放送のスペシャルドラマ『さよならぼくたちのようちえん』のような子どもたちの成長物語が再び観られるものとばかり思っていたけど...、
お恥ずかしいことに、とんでもない大間違いだった、大馬鹿だった。
なぜ、第3話放送分までのネタバレをまとめてしまったのか、ただひたすら恥じ入るばかりで...。
しかし、演じる子どもたちに罪はない。
演技力あるし健気で切なげ。
これでは、子どもたちはもちろんのこと、あの『こうのとりのゆりかご』で、赤ちゃんポスト利用者の一人である母親(吉田羊)の子・保を演じたパチ(五十嵐陽向)もかわいそうだ。
一体何なんだろう? この子どもたちへの扱いは?
慈恵病院が放送中止を要求したくなるもの、無理もない話だ。
慈恵病院が問題とするのは、芦田愛菜ちゃん演じる女の子の名前(あだ名)が"ポスト"となっていて、「預けられている子どもへの預けられた子どもを傷つけ、精神的な虐待、人権侵害になる」という点と、舞台となる児童養護施設「コガモの家」施設長・佐々木友則(三上博史)の描写。
特に、施設長による、子どもが泣き出すまで朝食を与えない、とか、バケツの水を持たせる、という「体罰」を与えるシーンや舌打ちの癖、子どもたちに「里親のペット」と罵倒したり児童養護施設の職員への誤解や偏見を与える、という。
この施設長の人物設定、と言えば、あの2005(平成17)年7月より放送の日本テレビ土曜ドラマ『女王の教室』で天海祐希演じる公立の半崎小学校6年3組の担任で鬼教師の阿久津真矢を彷彿とさせそうな、と思いきや、かなりデフォルメされたキャラとしか言いようがない。
確かに、あの『女王の教室』に関しては、熱血や道徳を推し進めた従来の学校教師ドラマとは対極をなす内容が大きな反響を呼び、放送開始早々から賛否両論沸騰、PTAなどの団体からの名指しでの非難もあった。
しかし、舞台は小学校、通う子どもたちも日常生活に支障をきたすほどの貧しさはない。
やむにやまれぬ事情ゆえに泣く泣く児童養護施設に預けられることとなった子どもたちとは、全然違う。
そして、子どもを叱ることのなくなった当時の教師と学校の問題、学校へ一方的に責任転嫁するモンスターペアレンツの問題...。
そのドラマの一番のメッセージは、教師が"壁"となり立ちはだかること、それを乗り越える努力をさせない限り子どもたちは真の"壁"を乗り越えることができないということ。
それらを終盤における伏線回収で意識できるようになる描写と展開だったから、まだまだ許容範囲。
蛇足ながら、エンドロールでの出演者と制作スタッフによるオフショットとEXILEの「EXIT」に合わせてのダンスがあったから、安心して観れたというのもあるけど...。
(「よく遊びよく学べ」を暗示させる意図的な演出???)
話は『明日、ママがいない』に戻って...。
お恥ずかしながら、つい先日知ったところでは、脚本監修が何とあの野島伸司。
どうりであの描写と展開なのか。
"ポスト"だけじゃない。
梨央ちゃん演じる真希には、母親による鈍器での傷害事件から"ドンキ"。
渡邊このみちゃん演じる女の子には、貧困家庭育ちから"ボンビ"。
三浦翔平演じる施設卒業生で職員兼調理員の"ロッカー"は、コインロッカーベイビーから。
さらに里親候補者が幼児性愛者だったりとか。
どうして野島伸司は、こんなえげつない描写が好きなんだろうか?
しかも、製作総指揮をはじめとするスタッフによる児童養護施設関連への綿密な取材もされたとも言えず...。
せめてわずかながらでも希望の光の見える展開もなく、ただ救いようのない展開だけなのか?
一気に観る気しなくなった。
先の『こうのとりのゆりかご』放送終了後、すぐ購入した2010(平成22)年下旬発売の『こうのとりのゆりかご検証会議・最終報告 「こうのとりのゆりかご」が問いかけるもの いのちのあり方と子どもの権利』に、目を通してみた。
熊本市の慈恵病院での2007(平成19)年5月上旬の「こうのとりのゆりかご」運用開始から半年後、熊本県による「こうのとりのゆりかご検証会議」設置と計10回の議論を経て、2009(平成21)年11月下旬に最終報告をとりまとめたもの。
ポイントは、ゆりかごの利用状況とその背景、ゆりかごの評価、制度的提言の3点。
当然、報告はしっかりしたもの。
個別に対応するべきことと組織でできることの二つが、うまく組み合わさらないと、遠い将来への克服には至りづらいこと。
重厚ゆえに心に沁みるもので 、関係した方々の真剣さが伝わっている。
もう一度目を通す必要あるなあ。
最後に、あの『こうのとりのゆりかご』で着用された"2013秋新作"の肌着のように...、
全国の児童養護施設で生活する子どもたちへの安らぎと幸せを祈って...。
2014-01-16 |
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