杏 杏のふむふむ 往復書簡
この年2014(平成26)年も、いよいよ年の瀬を迎えることとなって...。
前年2013(平成25)年10月より放送のNHK朝ドラ『ごちそうさん』のヒロインを演じてからの上り調子、私生活での喜びも大きさも加わって、出演するCMにおいても、静かなる輝きは増すばかり...。
並行して、バラエティー番組出演の時のイメージ崩壊で、意外と天然で若いかも、という思いも加わって...。
となれば、仕事を離れた素顔の杏を知りたくなってしまうもの。
以上の思いあって、仕事の合い間の書店にて、本を二冊購入することに。
いずれも、素顔の杏そのものが綴られていて、微笑ましいものだった。
一冊目は、2012(平成24)年6月発売の『杏のふむふむ』(筑摩書房)。
時系列で読むと、感動が少しずつ浸透するかのようで、心地良いや。
幼少時代から始まり、ラブラドールのハリーと過ごした小学校時代、
歴女の第一歩を踏み出した中学時代、
15歳から集英社発売の女性ファッション雑誌『non-no』専属モデルとしての活動、
それを皮切りとする単身での海外へのモデル修業時代、
決死の山登り"成人式"、
以後の舞台やテレビの仕事、
合い間における私生活ぶり...。
まさに、杏の"これまで"がまるごと詰まった一冊。
そして、またまたいい意味でイメージ壊れたかのよう。
何事にも興味を持って、人には素直に誠実に接して多くの人から可愛がれ、読書家で歴女で物知り。
英語やフランス語を独学で学ぶ努力家。
さまざまなことなことが、ほっこり温まる文章は、心地良いもの。
渡辺謙の娘という先入観抜きでも、感受性の強さと深さには、誰もが心惹かれるだろうなあ。
いわゆる"二世タレント"という目で見られがちであったとしても、人との出会いなど恵まれてる点を、堅実な仕事ぶりでことにあたり、"大切な絆"へと昇華しているのは、杏自身の優しい人柄であることは明白。
二冊目は、2013(平成25)年2月発売の、小澤征良との共著である『往復書簡 いま、どこですか?』(新潮社)。
旅先から大切な女友達に向けて書いた手紙32通、すなわち姉妹のように息のあった杏と小澤征良の2人が、懐かしい記憶をたどった京都、星空と対話したハワイ、最高のシェフに会ったイタリアなどで、互いに実感したことのやりとりが半分ずつを占めており...。
残りは、締めくくりとしての2人で旅した北海道オオカミの森での出来事を、それぞれの視点で書かれた瑞々しいショートエッセイだった。
どちらも二人の人となりが余すところなく描写。
自分も旅をしている気分にさせられる上に微笑ましくなるものゆえに、日々の疲労回復にふさわしいし、旅好きの方、二人のファンの方には、おすすめの一冊。
オオカミに関する考察、なかなか読み応えあった。
ただ、二人の閉じられた世界でのガールズトークのような流れ、書籍として出版した場合、よほどのファンでないと夢中にならないのかもしれないや。
それでも、簡単にメールで連絡できるこの時代に、女性特有の字体やイラストの可愛いさを取り入れつつも、手書きの手紙の素晴らしさを教えてくれた、杏と小澤征良それぞれの感性、素晴らしい。
小澤征良の文章は、時に甘ったるいものの、叙情的で読みやすい。
杏の文章は、読書家らしく知的かつ読みやすい。
いずれにせよ、出口の見えずに躊躇する人たちに、勇気を少しずつ与えるためにも、これからも素敵な女性の多く登場すること、祈りたいなあ。
かの角田光代氏の評した「まっすぐできよらかで、絶妙に風変わり」なまま、これからも杏は突き進んでゆくことになるんだろうなあ。
父・渡辺謙がこれまでの娘・杏の歩みを知れて感無量のように、さらなる成長を遂げる予感が...。
次のエッセイを出せる時が、楽しみになってきた。
2014-11-16 |
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