猫なんかよんでもこない。風間俊介

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猫なんかよんでもこない。風間俊介

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猫なんかよんでもこない。　風間俊介

風間俊介の名を何気に目にすると、つい気になってしまう。

ジャニーズ事務所所属のアイドルタレントながら、ドラマ出演での難役ぶりの好評から、無意識のうちに歌謡番組で踊ることもグループで歌うこともなくなってしまった異端児上がりの活躍ぶり(?)が、否応なく気になってしまったからかもしれない。

もちろん演技力が際立っているという意味で...。

それゆえの気の早さからか、翌々年の2016(平成28)年、2011(平成23)年3月より公開の映画『前橋ヴィジュアル系』以来、5年ぶりの映画主演へ...。

その作品とは、新潟県新潟市(旧亀田町)出身の元プロボクサーの漫画家・杉作による半自伝を基にした漫画の実写映画『猫なんかよんでもこない。』。

物語のあらましは、犬派の崖っぷちボクサー・ミツオ(風間俊介)が、同じく崖っぷちの漫画家の兄(つるの剛士)の気まぐれで拾ってきた2匹の猫の世話を任された上に、家出までされて...。

ついにミツオも夢破れ、日々のさみしさを抱えるばかり。しかし、葛藤を抱えつつも、猫たちとの共同生活を通して、空虚な日々から気持ちが少しずつ満たされ、次第に自分自身を見つめ直していくまでが描かれており...。

シリーズとして、これまで実業之日本社より刊行されてきたのは、本当に嬉しいや。

2012(平成24)年5月17日木曜日発売の"その1"では、兄の家出、ミツオの夢の断絶、残された猫2匹クロとチン子との関わりと、猫嫌いのミツオの葛藤そして成長が描かれており...。

2013(平成25)年3月14日木曜日発売の"その2"では、クロが逝ってしまって間もなく、漫画家となったミツオの友達付き合いの輪が大きくなる反面、恋人まで求めたがるミツオの姿に嫉妬するチン子のかわいさと切なさが、存分に描かれていて...。

両親も兄弟姉妹も仲良し猫もいない人間の言葉を発せないチン子には、やるせなくなってしまうだけに、つい考えさせられてしまう。

感情の本質は人間と同じなのかと...。

同年10月31日木曜日発売の"その3"では、チン子を不憫に思うミツオに拾われた子猫のボコの物語が、余すことなく描かれており...。

なつかなかった子が心を開いてくると、本当に心を揺さぶられる。

それだけに、ミツオたちになつく反面、チン子に邪険にされても母親としてなつこうとするボコ、不憫だった...。

最後まで目が離せなかったなあ。

そして、この年2014(平成26)年12月4日木曜日、"その4"がいよいよ発売...。

この時ミツオは40歳。

結婚して子どもが生まれて、生活も場所も変わっても、チン子との関係は変わらない。

しかし、この時のチン子は17歳。人間に置き換えるならば80歳。

家族として長く過ごしてきた人たちならば、誰もが実感するように、必ず訪れることになる終焉が...。

それでも、かねてから描写される悲壮感あふれるかのような展開のないことが、救いだろうなあ。

いずれにせよ、心の栄養をたっぷりと摂取できる本であることは、間違いなし。

先の映画化に話を戻して...。

監督は、2012(平成24)年12月15日土曜日より公開の映画『グッモーエビアン!』を手掛けた、山本透監督。

脚本は、山本監督ほか、2013(平成25)年12月21日土曜日より公開の映画『永遠の0』を手掛けた林民夫。

主人公・ミツオを演じる風間俊介としては、「原作を読んだときにすごく温かい話だなと思い、絵が持っている温かさというのを実際に人が演じた時に、人柄の温かさが映像を通して出せたらいいな」との心積もり。

本来の主人公である猫に翻弄される姿、どれだけ魅せてくれることになるのか...。

ダメ漫画家でミツオの兄を演じる、つるの剛士としては、原作と脚本のアニキ像は少し違い、映画では一見クールでドライ。それでも、陰ながら弟をしっかり見ている役どころを魅せていきたい、と...。

ヒロインとなる幼稚園の調理員・ウメさんには、若手女優のなかでも目覚しい活躍をみせる、あの松岡茉優が...。

風間俊介と同じく、2013(平成25)年1月より公開の『映画鈴木先生』、翌年2014(平成26)年4月より放送のNHK木曜時代劇『銀二貫』に出演したことはあるものの、直接共演は今回が初めてで...。

卓越した演技者同士のぶつかり合いが楽しみ。

山本透監督評する「まさにタイトル通りの撮影現場。呼んでもこなかった!」、今までにない"新しい猫映画"。

完成度の高まりが、待ち遠しいや。