純と愛 最終回 ネタバレ
のように、いよいよ今月3月30日土曜日・第151回をもって、これまでにない賛否両論の沸騰したNHK朝ドラ『純と愛』が終了する。
なのに、なぜ未だに、2011(平成23)年末に放送終了し最高視聴率40%超を記録した日本テレビのドラマ『家政婦のミタ』のことが、気になるんだろう?
(これからかなりの長文になってしまって失礼ではありますけど...)
決して未練なんかじゃない。
ただ、
かの朝ドラ放送開始前の2012(平成24)年9月24日月曜日、脚本家の遊川和彦氏の出演したNHKドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』での述懐が忘れられないんだろうな。
たしか仕事に失敗した父親が、自身のほかに、母親や姉と兄と妹のいる家族を残して蒸発してから、必死で生き抜いて窮地を脱したことあって、父親には憎しみに近い感情しかなかったという。
ただそれでも、蒸発前後から現在に至るまで、どんなに家族全体が不仲であっても、必ずほぼ毎日の朝食と夕食の時には、一緒になって食事をする。
それゆえ、現実のどこの家庭に関しても、NHK朝ドラやホームドラマのようにありがちな、ほのぼのとした穏やかな食卓風景は、あまり期待できないもの、と考えているらしく。
肝心要は、それぞれの気持ちが全然違っていて、思い通りにことが進まずに、全然釈然としない思いや苛立ちにかられたとしても、自分なりに考え抜いて、結論を導き出して、信じるところへ突き進んで、生き抜いてゆく。
遊川氏の脚本で一番描きたかった意図は、そこにあったと思われ、その日放送のサブタイトルは、
「ぶつかりあって、愛が生まれる」
その象徴的な描写として、
かの『家政婦のミタ』第7話。
崩壊寸前から再生途上の阿須田家にて、家政婦・三田灯(松嶋奈々子)の見守る中、自身の浮気が原因で妻を自殺に追いやり仕事も失ったふがいない男・恵一(長谷川博己)が、床に手をついて深く頭を下げて号泣しながら、結(忽邦汐里)と翔(中川大志)と海斗(綾部守人)と希衣(本田望結)に、これまでの過ちを謝罪するシーン。
遊川氏自身の実の父親を許す気持ちの決め手そのものだという。
かつてどんなに憎んでいたとしても、遠い将来いつかは許せる時が来るとのこと。
特に、遊川氏自身は、海斗の目線だったとか。
そして、この度のNHK朝ドラ『純と愛』にも、いくらか似たような展開が。
純の家族しかり、愛の家族しかり、オオサキプラザホテルの人たちしかり、里やの人たちしかり、
(ドラマの脚本特有のある程度の過剰な演出と描写は差し置くとしまして、)
現実における物事の本質を突かれて考えさせられることは事実でも、
NHK朝ドラとして見せるには、劇薬間違いなし。
さて、長い前置きはこれまでにしまして、
肝心の物語は、焼失した「里や」の常連客だった著名なファッションデザイナー・久世秋代(朝加真由美)が、自身所有の宮古島の別荘の提供を純(夏菜)と愛(風間俊介)に申し出て、ついに純と愛が宮古島で再出発することに。
しかし、そこでもまたまた、波瀾万丈は続くようで...。
第23週(3月4日月曜日から9日土曜日まで)。
宮古島で借りた別荘は、室内が荒廃。
ホテルとしての改装のための資金と資材の調達は、周囲の協力が得られずに難航。具体的な方向性も見えずに、苛立ちと焦りの日々。
4日月曜日放送の第128回と、7日木曜日放送の第131回に、愛の不穏な言動が...。
そのような悶々とした状況を脱するきっかけは、純の母・晴海(森下愛子)と連れてきた宮古の人々。
彼らからやっとの思いで資金が手に入ることに。
第24週(3月11日月曜日から16日土曜日まで)。
ホテルのオープン準備のため、「里や」の仲間だったセクシーこと天草蘭(映美くらら)と宮里羽純(朝倉あき)らも駆けつける。
オープンの近づく中、愛の妹・誠(岡本玲)もホテルで働くと告げるものの、生きる道を見い出せないでいるらしく...。
バラバラの待田家を心配する純は、多恵子(若村麻由美)と謙次(堀内正美)を招待。
招待された待田家を待ち受けていたものは、サプライズによる愛の誕生祝い。
そして、待田家の家族全員は、病死した双子の弟・純にまつわる想い出と向き合い、語り始めることに。
茨の道の長かった待田家が、ついに再生へ。
感動した愛は、ホテル名をホテルサザンアイランドにすることを、純に勧める。
第25週(3月18日月曜日から23日土曜日まで)。
愛が倒れた。
検査の結果、脳に腫瘍が...。
医師曰く、手術が成功しても何らかの後遺症は残るらしいとのこと。
万一を考えた愛は、料理や経営方法などを、マリヤ(高橋メアリージュン)たちに伝えることに。
ということは、あのクランクアップ直後の挨拶での風間俊介。
あのニット帽子は、手術に備えて極度に短くした頭を隠すためだったのか。
[詳細は、「純と愛 ネタバレ 第25週」を参照願います]
サイドストーリーとしては、第24週より絵画活動をはじめとするアーティストとして生き抜く道を見い出した純の弟・剛(渡部秀)と誠と羽純の三角関係も描かれるようで...。
[3月14日木曜日投稿の「純と愛 朝倉あき かわいい」と3月15日金曜日投稿の「岡本玲 純と愛 かわいい」を、それぞれ参照願います]
そしてついに、最終週の第26週(3月25日月曜日から30日土曜日まで)。
愛の手術は無事終了したしたものの、脳幹に喰い込んでいた腫瘍を完全に除去することはできず、未だに昏睡状態の続いたまま。
さらに、台風の被害に遭ったことでホテルのオープンが延期になってしまった。
不運の重なって茫然自失となる純。
純と愛を心配する待田家と狩野家、そしてホテルサザンアイランドの面々。
そこへ、かつてのオオサキプラザホテルの仲間たちが現れた。
まず、何と言っても、かつての社長・大先真一郎(舘ひろし)の登場はもちろんのこと。
次に、大先のかつての恋人で独身を貫き、入社当初の純を厳しく指導、"魔法の国"をつくる夢を追いかける純を陰ながら温かく見守ることとなる、桐野富士子(吉田羊)。
さらには、純に一方的な想いを寄せるナルシストで、愛に嫉妬しながらも、最後には二人を認めた水野安和(城田優)。
純と同期で水野に片想い、純と水野の接近を快く思わず悪戯を仕掛けたこともあったが、純と愛の結婚を機に良好な関係となり、桐野同様、純の"魔法の国"づくりを陰ながら応援することとなる、田辺千香(黒木華)。
このお二方は晴れて婚約。
かつての「里や」からは、
新ホテル従業員となった仲間全員はもちろんのこと、ファッションデザイナー・秋代も、
かつて晴海に失恋してゲイとなった琉球舞踊の師匠・金城志道(石倉三郎)も、
そして、「里や」のボスこと上原サト(余貴美子)も。
ドラマコンクールに出したシナリオの大賞受賞で、売れっ子美人作家の道を邁進中らしく。
ついにサトは、晴れてセニュールこと藍田忍(田中要次)と婚約。
第25週より続く、剛と誠と羽純の三角関係も、3月26日火曜日放送の第147回で決着が。
肝心の結末としては、
最終回となる3月30日土曜日放送の第151回。
愛の昏睡状態は続いたまま。
かつての幼少の頃に母・多恵子が読み聞かせてくれた絵本「ねむり姫」を子守唄にして、眠っているかのよう。
純は愛との約束通りにホテルをオープン。
"魔法の国"をつくるために、日々を邁進してゆく。
愛が再び目を覚ましてくれることを信じて...。
かつてのおじいこと母方の祖父・真栄田弘治(平良進)が、病弱なおばあのために、海外旅行をしている気持ちにさせてあげているように。
(後は、想像に任せる展開になりそうですけど...)
もしも、愛が最後の最後で奇跡的に回復するならば...、
毎回のタイトルバックに流れる「ねむり姫」の絵本の物語の展開のように、
純のキスで愛は目を覚まし、ともに歩いてゆくことに。
しかし、手術後の後遺症は残り、かつて心を閉ざしていた頃の人間の本性を読む能力はもうない。
ありとあらゆる特技を活かしていた頃の面影もない。
動きもぎこちなく機敏とは言えないし、多少の聞き間違いで、いくらか当惑させられてしまうこともある。
最悪の場合は、車椅子での生活も。
ただ、日常の生活に重度の支障をきたすほどの後遺症には至らない程度。
むしろ純の大好きで心の拠り所でもある、かのおじいのような穏やかな物腰に。
そして、今まで愛から支えられることの多かった純が、これから愛を支えてゆくことに。
純をはじめとするホテルの面々も、
かつてのオオサキプラザホテルの面々も、
それぞれが理想とする"魔法の国"をつくろうと、
歩き始めてゆく。
以上が、『純と愛』の結末なんだろうな。
多くのドラマにありがちな典型的なハッピーエンドではない。
わずかながらでも希望の光の差し込むかのようなハッピーエンド。
まさに、これぞ脚本家・遊川和彦氏が第一に考える、
「ぶつかりあって、愛が生まれる」
もし、不運の続いて尾を引いた状態のままでの結末だったら、誰もが納得しないだろうなあ。
第一、そうだったとしたならば、酷評はかなり尾を引いて、これからの俳優としての活動にいくらか支障をきたしかねないだろうし。
そして、4月20日土曜日20時からの1時間程度の単発で、NHK-BSプレミアム放送の純と愛スピンオフドラマ『富士子のかれいな一日』という吉田羊演じる桐野富士子主演もあり得ないはず。
それゆえ、不運な結末は絶対ない。
そうでなければ、スピンオフドラマは成り立たない。
スピンオフドラマか。
観たいな。
あの舘ひろし演じる大先真一郎との恋愛模様も描かれるだろうしな。
休火山である富士山のような威圧あるいは存在感を醸し出していた桐野富士子。
仕事を離れた日常の素顔か。
早く観たいな。
2013-03-03 |
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